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愛媛県立美術館のイームズ展

eames

5年前くらいの記憶だったのだけれど(いや4年前だったか)、東京にいた頃、イームズ展が大々的に行われていた。事務所を共有させてもらっていたサインデザイン事務所に、アルミニウム・シェーズに足を高々と投げ出したような構図のでかいポスターが貼られていた。イームズ・チェアはそれほど強い関心があったわけではなかったけれど、そのポスターのイスと足がおもしろかった記憶がある。

その頃が、『カーサブルータス』で特集が組まれたりカフェブームとも相まって、ブーム的ピークのような気がしていたので、今回の愛媛でのイームズ展は、今ごろなんでなんだろうという印象もあった。検索してみると、今回の位置付け(世界巡回展のひとつとしての)を書いていてくれているブログ(→こちら)があって、結構よくわかる。

日本では、東京・大阪・京都のなかに、ひょっこり愛媛。四国のなかでも最保守的とウワサされがちな愛媛県立美術館では、超めずらしいできごと。


さて、そのイームズ展に行っての感想。
ポストモダンの次を見なくちゃいけないと思っている今、モダンデザインの象徴のようなものが、なぜこの時代に人気になっているのだろうというのも僕の中では謎でもあった。好きなお店や友人にイームズの好きな人は多いし、けっして批判的なわけではない。重厚であったり、高級であったりする家具に比べて、あの軽さは好きである。
モダンというよりも、ポップな部分が好きかもしれない。僕の関心の持ちかたは、ポップアートのアンディー・ウォーホールやヴェルヴェットアンダーグラウンドのようなものかもしれない。もうひとつ、モダンデザインの特質でもあるあの機能美も見逃せない。イームズの好きな友人たちは、あの座り心地のよさや座った感触のよさを言う。

それ以上に、今回の収穫は、イスやインテリア以外の仕事を知ったこと。40歳を過ぎて以降のイームズ夫妻は、工業経済的ものづくりから、展覧会、書籍、映像などの情報や知識の仕事に移行していた。すでに頭はモダンデザインを脱していたのだろうか。

この映像作品が、これまでになくおもしろかった。見たのは「アスファルト」と「パワーズ・オブ・テン」。「アスファルト」は、アスファルトの上に石鹸水を流して、曲線的な形と流れるような動きが10分間続くだけの作品。イームズチェアの曲線的ラインの美しさに、動きのおもしろさが加わったかんじである。
WEBにFlashというツールで、流れるようなCoolな動きが何年も前にでてきていたけれど、ちょうどその動きのおおもとを見たような思いがした。僕が最近たまにやるVJ(Visual Jockey )的な要素としてもじゅうぶん先駆者。ちなみに、このアスファルトの音楽はバッハ。
「パワーズ・オブ・テン」は、10億光年の距離からねそべった人間に落下し、さらには皮膚の中のミクロン、オングストローム、フェルミの世界にまで入り込む景色を14,000コマの写真や画像から動画にした10分弱の作品。景色といっても、銀河の宇宙から細胞や分子どころではなく、原子、クオークの世界なのだからねそべった人間を通過する前の具象的な風景以外は、ほとんど抽象芸術的世界ですらある。

これら映像は100本くらい作ったらしいのだが、いろいろタイトルを見ただけでも、おもしろそうで、一度、まとめて見てみたいと思った。
とにかく、インテリアや建築以上に興味深かった。

ちなみに、このブログの最初にとりあげたバックミンスターフラーは、同じアメリカのだいたい同時代を生きていたみたいだ。
* Takechi Yoshinori-2005 * 10:56 * comments(0) * trackbacks(1)

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From アメリカデザイン日記 ver2.0 typeMT @ 2006/03/27 3:24 PM
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